ヘンティ県のフドゥー・アラルはモンゴル帝国の故郷、発祥の地と言ってもいい所です。全モンゴルの王族、重臣が一堂に集まるクリルタイ(大集会)がたびたび催され、チンギス・ハーンはじめウグデイ・ハーン、ムンフ・ハーン、ユスントゥムル・ハーンなどの歴代ハーンの即位式が行われるなど、政治の中枢をになう場所でもありました。『モンゴル史』もここで書かれています。チンギスハーンの「大宮殿」や霊廟である「8つの白いゲル」が15世紀まで存在していたことはさまざまな研究で証明されています。当然ながら、『モンゴル秘史』に記述のある多くの史跡があります。アウラガ遺跡はデルゲルハーン村より西南12㌔にあります。1950年代半ば、モンゴルの著名な考古学者ペルレーがこの遺跡をチンギス・ハーンの「アウラガ宮殿」であることを証明しました。1961~1976年にかけて何度も国を挙げての詳しい調査が行なわれました。また2001年からは日本の考古学者も加わった共同発掘調査が進められ、ここはチンギス・ハーンの「大宮殿」跡であり、モンゴル帝国の初期には政治・経済の中核の役割をにない、その後は霊廟として存在し、人びとの信仰を集める聖地の一つであったことが明らかになりました。